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Posted by 諭吉セブン
 
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学ぶこと
「高齢者さんと接する中で
 何か学べることはありますか?」
老人ホームで働こうと応募してきた人に
面接で私が聞く質問の一つである。

てるさんの命日は
4年に1回しかない2月29日となった。
もうだめかもしれないと
何度も何度も山を越えてこの2年、
小さな体でがんばってこられた。
ご家族は姉妹が交代で毎日誰か訪問され
お部屋からはいつも
優しい音楽が流れていた。

“名は体を現す”と言うとおり
その名前に込められた願いは
人の生き方さえ、左右するのかも知れない。
てるさんはまさしく
ご家族からとっても
私達スタッフから見ても“光”そのものだった。
いつでも笑顔で
「ありがとう」と言って下さった。
そしてとても褒め上手で
「あなたきれいね」
「あなたかわいいわね」
「優しいこと言ってくれるわね」
そんなことを
みんなに分け隔てなく
まるで口癖のように言って下さった。
車イスを後ろから押すスタッフさんと一緒に
歌を歌いながら廊下やエレベーターでも
歌われている姿は
いつも楽しくて嬉しそうだった。
緊急搬送の時は
息が絶え絶えなのに
「私、元気よ。ありがとう。」と
こちらに気を遣って歌われだしたので
あやうく緊急隊員の人に
救急車から降ろされそうになった。
(元気だと思われて)
通院に付添うと
目が合う人、皆に手を振っては
にこにこ笑顔を振りまかれるので
「わー、かわいいおばあちゃん」と
知らない人が集まってきたこともあった。
自分の気持ちを歌にされることが得意だった。
スタッフがバタバタして対応できない時は
「いつまでここにいたらいいの♪」とか
点滴が上手く入らず、痛い思いをさせてしまった時は
「痛いことだけして、あなたは去っていくのね♪」と
部屋から立ち去るナースに歌った。
一番良く耳に残っているのは
「嬉しいな、嬉しいな♪ほいほい♪」
その楽しそうな明るい歌声は
スタッフ皆をいつも幸せに導いてくれた。

お通夜に何人かのスタッフさんが行ってくれて
私は代表で一人、告別式に行く。
家族葬の式は
お身内以外、私と知らない女性の二人だけだった。
お坊さんのお経がやたらと長くて45分もあったので
その間、一人ビービー泣きながら
てるさんの遺影の周りに
何でもいいから何か見えないかと考えた。
泣きながらも目を凝らしていたけど
見ても、何度見ても
きれいな花に囲まれた、笑顔の遺影以外に
何も見えなかった。

_IGP6618.jpg

娘さんやその家族も
てるさんにそっくりな
陽だまりの様な笑顔を見せられる。
今日は告別式で私を見るなり皆さんに泣かれたけど
涙を流しながらも
何度も笑顔を見せようとして下さった。
笑顔は伝染するものなんだなと
いつもご家族を見て思っていた。
てるさんの長い人生の
ほんの最後の数年でも
関われた私達は本当に幸せだった。
てるさんが私達に与えたくれたもの
てるさんから学んだことは
多すぎて書き切れない。
痩せた体は痛々しかったけど
あの優しい笑顔はいつでも思い出せる。
スタッフやご家族が掛けた言葉は
「ありがとう」が共通語で
「もうがんばらなくてもいいね」
「ゆっくり休んでね」
それは誰もが思っていることだろう。

「高齢者さんと接する中で学んだことは?」
それは昨日の面接で
私が応募してきたナースに投げた質問だった。
「学んだことですか?高齢者から学べること?
 いや、あの、わかりません。」
困惑してその人は答えていたっけ。
面接の後、上司に怒られた。
「君の質問は難しすぎるわ」と。
「そうかな、基本でしょ」と言いながら
私はその場を後にする。

仕事で出逢った人に
何を学ぶか、学べるかもその人次第。
学ばないといけないとは決まっていない。
出逢った意味もないと思う人もいるけど
わかっていない、気づいていないだけで
そこに何かの理由はあると
私はいつも信じたい。

うちのスタッフさん達は
今日は皆、悲しくて泣いていたけど
すぐにいつもの笑顔で
高齢者さんに接している。
てるさんから学んだたくさんのこと
てるさんから与えられた
優しい笑顔やキラキラした言葉をきっと
たくさんの“光”として
私達は生きていけるだろう。

ご冥福を心からお祈りします。
どうぞ安らかに。





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Posted by 諭吉セブン
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