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Posted by 諭吉セブン
 
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あまのさんのこと
小学校の時、大好きだった男の子と
前夫の苗字が同じだった。
「大人になったらあの人と結婚できますように」
昔、神様にお願いしたことがあるけど
神様も間違うことがあるんだろう。
離婚してからはそう思っていた。

一年前の二月のはじめ
お通夜の後で涙が止まらないまま
乗り換えて電車に乗ろうとしていた。

_IGP6642.jpg

その日は老人ホームの入居者さんと
最後のお別れの日だった。
90代の人が多い中で60代だったその人は
子供の頃から病気があった。
なかなか気難しい人だったので
新しく入ってきたスタッフさんは
皆、怒鳴られたし泣いた人も多い。
妹さんの『天野さん』は
サバサバした良い人だった。
いくつになってもお兄ちゃんが大好きだけど
不器用で照れ屋なお兄ちゃんがスタッフさんを
理不尽に怒鳴りつけて怒るのを見て
「お兄ちゃんひどいわ!」と怒って帰ったこともあった。
結婚していないお兄ちゃんは
他に家族もいなかったので
天野さんは毎週、欠かさず老人ホームに通っては
ご飯を持ち込んだりご主人や家族を連れてきて
お兄ちゃんと話す時間をゆっくりとってくれた。
一年に一回だけ、たった一枚だけ
お兄ちゃんには手紙が届く。
それは妹の天野さんからの
元旦に届く年賀状だった。
手渡すと素っ気なく受け取るけど
毎年、お兄ちゃんはその年賀状を
穴が開くほど見ていたっけ。

天野さんはある時、
私にも兄弟がいることを知って
いろいろと話をしてくれた。
数年前、天野さんは病気で九死に一生を得たらしい。
そして危ない手術だったのに
無事に終わって助かった。
たまたまその時、入院していた
お兄ちゃんと同じ病院で
部屋がなかったということで
一部屋に「お兄ちゃんと妹の天野さん」が
同室に入院することになった。
初めてお兄ちゃんと同じ
動けない体になった天野さんは
病院の天井をただ、ただ見つめ続けた。
お兄ちゃんはこうやって
ずーっと天井を見て
毎日毎日、何十年も暮らしていたんだなと
しみじみ思ったらしい。
「残りの人生をお兄ちゃんの為に生きなさい」
そう神様から言われた気がしたらしい。

お兄ちゃんの人生は
やりたくても出来ないことがいっぱいで
妹に夢を託したり
いろんなことを諦めて
過ごしてきたに違いない。

通院に付き添った時に
いろいろ手伝ってくれた病院の職員さんが
「ほんま、体、動かへんな」
お兄ちゃんの真横で、そう言われたことがある。
お兄ちゃん自身もつらかったろう。
「体、動かへんな」って
その言い方はないやろ。
その他にも車椅子が大きかったので
病院内でモロに迷惑そうにされたり
本人は苦しんで病院にきたのに
いかにもバイトの若いドクターに
なめた診察をされたりしたこともあった。
帰りの車で私が怒っていた時は
「病院ってそんなもんや、医者ってそんなもんやで。
 慣れてるわ。」と言う言葉が帰ってきた。

子供の頃から病気があったので
きっといろんな病院や施設を利用して
嫌な思いをさんざんしてきたんだろうな。
だから唯一甘えられる
老人ホームのスタッフには
どなったりされるのかも知れない。

よく怒るお兄ちゃんなのに
老人ホームから病院に入院した時
「ありがとう、早く帰りたい」
と泣いておられたので
皆でびっくりしてしまい
お見舞いに行ったスタッフは
皆、泣いて帰ってきたなぁ。

_IGP6625.jpg

私が毎年、奈良の石上神社で買ってくる
干支みくじをひいてもらい
例年、連続して大吉が出た時も
お兄ちゃんより妹の天野さんと私の方が喜んでいたっけ。

天野さんはお兄ちゃんが逝ってしまったら
これから何を支えに生きていくのだろう。
お通夜の前に子供のように泣き崩れていた
天野さんの姿が何度も思い出される。
そしてお兄ちゃんの人生は幸せだったのかな。

雪がチラつく、二月の空は
凍えるように寒かった。
電車の中でも体は暖まらず
いろいろ考えては悲しくなり涙も出て
体調が悪かったので震えもきている時だった。
真正面から歩いて来たのは
気功の天野先生の娘さん、『たまちゃん』だった。
そんな心境の時に
たまちゃんに会えたことが嬉しくて
言葉にならなくて
そうそう、たまちゃんは今、受験勉強中で
毎日がんばっているんだと思うと
気持ちがぐーっとこみ上げてきた。
しかし、出てきた言葉は

「たまちゃーん、
 たまちゃん♪
 たまちゃーん!
 たまちゃーん。」

ひたすら「たまちゃんー」と
連呼するだけのボキャブラリーのない自分にびっくり。
たまちゃん、当時17歳のすごい所は
そんな風にばったり会って
自分の名前を連呼されて
嬉しくて興奮している人を前にしても
嫌な顔一つせず、逃げもせず
ただ優しく見守りながら傍に立っていてくれて
「ふふふ、ふふふ」と笑ってくれたことだった。

たまちゃんと別れて
一人になって大人気なかったなと
急に恥しくなる。
それでもきっとたまちゃんは家に戻り
天野先生の家族に
「もう、恥しかったわ。」とか
「あの人、変」とか言わないだろう。
私はたまちゃんに会えて心から嬉しかったし
あの時、救われた気がした。

ずーっと帰り道に考えていた天野さんのこと。
天野さんのお兄ちゃんのこと。
すると、天野さん家の『たまちゃん』が
目の前に突然、現れた。
神様は今度は間違わなかったのかも知れない。
いやいや、呼び寄せただけかな。

IMGP4012_convert_20110414234102.jpg

そんなたまちゃんは今年、
見事、京都大学に合格した。
今度は落ち着いて
「たまちゃんおめでとう」と言いたい。
(昨年の“きっととおる”の続編は次回)

そうそう、天野さんはお兄ちゃんを見送った後、
お孫さんの世話でとても忙しいらしい。
お兄ちゃんはきっと一年経った今も
空の上から天野さんやその家族を
優しく見守ってくれているだろう。

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Posted by 諭吉セブン
comment:2  
[diary
comment
久しぶりにブログを拝見させて頂きました
いろんなところにコメントしようかと思ったけど、最新版のにします笑。

朝から胸にじーんときすぎて泣きそうです。
いろんな変化がありそうな春を目前に、いろんなことを考えてばかりで。

でも昨日、会えてとっても嬉しかった家族さんお2組と、この諭吉セブンで亡くなられたご入居にも会えた気がして、この気持ちをずっと大事にしていけたらなぁ~って思います。

PS 昨日はヘルメット姿で(メットかぶってなかったけど笑)ビックリさせてすいませんでした~
2012/03/21 09:08 | | edit posted by あゆちゃん
Re:
あゆちゃん、コメントありがとう。
昨日は偶然来て下さった二組のご家族に
私も会えて嬉しい日でしたね。
帰りはあゆちゃんのヘルメットとジャンバーが
一体になって宇宙服みたいに見えて
変にびっくりしました(笑)

たまたま今朝はあゆちゃんのことを考えながら
朝風呂に入っていたら
お風呂からあがってきてコメントが入っていたので
更にびっくりしました!




2012/03/21 22:06 | | edit posted by 諭吉セブン
comment posting














 

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