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Posted by 諭吉セブン
 
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カエデの先生
その写真集を見たのは
確か、今年の二月か三月頃だった。
そこには今までに見たことのない
多くの種類のかえでが沢山載っていた。
そもそも“かえで”と“もみじ”の
違いも知らない。
いろんな形や色
日本だけでなく世界中から集められたかえでは
百科事典並みの分厚い写真集になっていた。
その写真集を作ったのは
写真家の矢野さんという男性。
新聞社のカメラマンだった人なのだが
今は別名を
“カエデの先生”と言われている。

IMGP1130.jpg

写真集を私に見せてくれたHさんは
子供がまだ小さい頃に離婚し
その子は去年の春に大学に通いだした。
まだ40代と若いHさんは何度も
「もう私の仕事は終わった」と語る。
まるでもう何も思い残すことはない、と
いつ死んでもいいくらいの勢いで。

「子供が大学に入って一人暮らしを始め
私に何かあってももう一人で
生きていけると思うとほっとしたわ~」と
笑顔で語るHさん。
「まだまだ若いのに」と私は言いたかったが
Hさんが苦労人で
一人で必死でがんばってきたこと。
今、満ち足りた気持ちでいることを
解っているつもりなので
私は何も言わずに頷いた。

そんなHさんに今年の正月
矢野さんから年賀状が届いた。
そこには元気な字で
「77才、元気でがんばっております!!」と
書いてあったらしい。
80才近い矢野さんの“がんばっております!!”に
Hさんは衝撃を受け、身震いした。
「いくつになっても夢を追いかけ、叶えて
がんばっている人がいる。
生きている限り
落ち着いてしまわずに
まだまだがんばらなきゃ」
Hさんはそう思ったらしい。

矢野さんは奈良の山中に暮らしていて
自宅の庭は溢れんばかり?
荒れんばかり??のかえでが植えられていた。
日本・世界のカエデ自然種と園芸品種が
1200種 3000本。
車を持たない人なので
奈良の山奥で暮らすのは
どれだけ不自由だろうと
奥さんを亡くされてからは
一人でどれだけ寂しいだろうかと
昔からの知り合いであるHさんは
いつも心配していた。
ある時、矢野さんを尋ねたHさんは
数時間矢野さんの家に滞在した間に
訪ねてくる人が多くて驚いたらしい。
近所の人や友人知人が
入れ替わり立ち代わりやってくる。
「たくさん作ったから」と
おかずを持ってきてくれる近所の奥さん。
「街にいくから何か必要なものはないか」と
訪ねてくれる友人。
「近くを通ったから」と顔だけ見にきた人。
そうやって次から次へ人がやってきては
矢野さんを気に掛けてくれている。
決して裕福なわけでもなく
知識をひけらかしたりする人でもない。
どんな人にも親切でその人柄で
若い時から人が寄りつく
“豊かな人生”という言葉そのものだと
何も心配しなくていいと
Hさんは安心して帰路についた。
そして昔、Hさんの小さかった子供に
会うたびにたくさんの動物や自然の話を
矢野さんは語り聞かせてくれていたことを
思い出したりしていた。

IMGP1142.jpg

矢野さんは今から8年程前に
自宅の庭のかえでを
寄贈することにした。
元はといえばたった一本から始まったかえでから
全ては始まったらしい。
そして年月は流れて
“かえでの公園”を作る発起人になり
今年の春にオープンが決まっていた。⇒奈良新聞で

そのかえでの公園が奈良にオープンし
5月の連休に突然、行くことが出来た。
敷地に入ると“矢野さん”がどの人なのか
ぐるっと一周歩いてすぐにわかった。
愛でるようにカエデを見る優しい目の
男性が一人。
年齢が近い人は他にもいたが
多分、この人で間違いないなと
確信して話し掛けてみる。

私   「あの、突然すいません。矢野さんですよね?」
矢野さん「はい、矢野です??」
私   「Hさんから聞いて来ました!素敵な所ですね。
     かえでって秋しか知らなくて
     こんなに種類があることも
     今が見頃なことも知らなかったので」
矢野さん「そうですか。
     Hさんは元気ですか?どうしてるんかな?」       
私   「元気ですよ。
     いつも矢野さんのことを気にされています。
     近いうちにここに来られると思いますよ」
矢野さん「元気ですか、良かった~」     

たったそれだけの会話だが
優しい人柄は少し話しただけで十分に伝わってきた。

かえでの公園を作ることがゴールではなく
夢はどんどん広がっていく。
地球温暖化で変わっていく気候にも
耐えられる強いカエデを育てていくことや
杉、ヒノキばかりの山を自然の状態の
バランスの良い里山に戻したいというのも
矢野さんの夢の一つだとか。

IMGP1153.jpg

いくつになっても夢を叶えられることや
夢を追いかけられることの素敵さ。
Hさんだけでなく
私も身震いし
たくさんの元気をいただいた。
ありがとうございました。

まだまだ出来たばかりのかえでの公園には
小さな苗がいっぱい。
次に訪れた時には
どんな風に葉が繁っていくのか
次回はもう少し勉強してから
訪れたいと思った。











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